肩こりは肩回りの血行が悪くなり、老廃物がたまると筋肉が硬くなって発痛物質をだし痛みがでます。
厚生労働省の調べによると、肩こりは身体の悩みで男性は2位、女性は1位という日本人の国民病ともいえる症状です。
肩こりといっても、こる原因は人それぞれです。
ほとんどの人がいくつかの原因が重なって起こっています。
肩こりの4大原因
- 同じ姿勢
- 眼精疲労
- 運動不足
- ストレス
同一姿勢
同じ筋肉しか使わない行為は肩こりを起こしやすいです
- 立ちっぱなしや座りっぱなし
- デスクワークや細かい手作業
- 繰り返しの作業
立ちっぱなしや座りっぱなしなど、同じ姿勢が続くと首や肩回りの筋肉が緊張します。
腕や手は肩の筋肉とつながっているので、パソコンのキーボードを打つような弱い力でも確実に疲労はたまり、肩こりを悪化させる原因になります。
またデスクワークや細かい手作業を行う人はどうしても首が前に出て、両肩が前に巻いてしまう姿勢になりがちです。
眼精疲労
目が疲れる行為
- PCや数字など細かい文字を見る
- 合わない眼鏡やコンタクトレンズの使用
- まばたきが少ない
- パソコンやスマートフォンなどを長時間使う
パソコン作業や読書など細かいものや文字を見つづけていると、目の周りの筋肉が緊張し、同時に首や肩にも負担がかかります。
また作業に集中することによってまばたきも減るので、ドライアイから目が疲れるため、肩こりの原因になります。
運動不足
運動の効果
- 血行促進
- 筋量UP
- ストレス解消
- 疲労回復
- ケガ予防
- 基礎代謝UP
- 脂肪燃焼
運動は筋肉を使うことによって筋肉の柔軟性を高めたり血行を良くしたり筋肉量の低下を防いでくれます。
日常で運動不足の人は血流が悪く筋肉を使わないため筋肉が硬く、痩せていってしまい肩こりになりやすくなります。
ストレス
ストレスを与える原因をストレッサーといい、大きく分けて4つのストレッサーに分類されます。
物理的ストレッサー | 暑さ、寒さ、騒音、気圧など |
科学的ストレッサー | 栄養不足、医薬品等の副作用、酸素不足や過剰摂取など |
生物的ストレッサー | 病気、ケガ、睡眠不足、過労、不規則な生活など |
精神的ストレッサー | 不安、怒り、挫折、様々な人間関係のトラブルなど |
ストレッサーが全て悪だ!というわけではありません。
適度なストレスは良い緊張感になり、高い集中力を発揮したり、物事を達成させるためのモチベーションUPさせるなどの効果があります。
ただ、ストレッサーが度を超えると交感神経が優位になり、常に身体が緊張状態になります。
緊張すると無意識に筋肉に力が入ってしまうため、肩こりを悪化させるだけでなく疲労がたまりやすくなったり、病気にかかりやすくなったりします。
特に精神的ストレッサーはストレスと受け取るか、受け取らないかは個人差が激しく、物事の考え方や捉え方、性格などでもかわってきます。
まだまだある!肩こりの原因
- 喫煙
- 飲酒
- 冷え
- 性格
- 肥満
- 痩せすぎ
- いかり肩
- なで肩
- 首の細さ
- その他
喫煙
タバコの成分であるニコチンは血管を収縮させる作用があるため、血流が悪くなり肩こりを引き起こします。
また肩こりに限らず、喫煙は様々な病気を引き起こす原因になるので、まさに百害あって一利なしです。
飲酒
少量であれば血行が良くなったり、ストレスが緩和されるなど良いことがあります。
ですがお酒を飲みすぎるとアルコールを分解するために、身体が酸素不足になるので血中の酸素も不足します。
血中の酸素が不足すると疲労物質がたまって肩こりを起こしやすくなります。
冷え
冬や夏場、クーラーの効きすぎた部屋など、単純に気温が低い場合。
クーラー、扇風機などの直風が肩回りに当たるなど、身体が冷えると血流が悪くなり筋肉が硬くなります。
性格
肩こりを起こしやすい性格
- 生真面目
- 気を遣いすぎる
- 頑張り屋さん
- せっかち
- 几帳面
以上の方はストレスをため込みやすく、自律神経が乱れやすいです。
ストレスの項目でお伝えした通り、物事の考え方や、捉え方が肩こりを悪化させていってしまいます。
痩せすぎ
人間の頭の重さは体重の10分の1の重さ、腕は体重の16分の1の重さがあります。
体重50㎏の方であれば頭は約5㎏、両腕が約6㎏で約11㎏の負担が肩にかかることになります。
痩せすぎな人は首肩回りの筋肉が細いので負担に耐えられず肩こりを起こす方が多いです。
肥満
痩身でお伝えしたとおり人間の頭や腕はかなりの重さがあります。
皮下脂肪の多い方は+脂肪の重さも加わるため、さらに肩回りの負担が増え肩こりが悪化します。
また痩せている方が急に体重が増え、標準体型になった場合でも肩こりを起こりやすくなります。(筋肉が増えたのではなく、急に脂肪が増えた場合)
首が細い
男性の首周りの平均は36~37㎝
女性の首回りの平均は30~32㎝
(平均なので個人差はあります)
基本的に女性の方が男性より筋肉量が少なく首も細いため、女性の方が肩がこりやすいです。
いかり肩
いかり肩は遺伝による骨格や筋肉のつき方などの先天的要素と、生活習慣からなる後天的要素が関係しています。
いかり肩を作る筋肉
僧帽筋上部繊維 | 肩甲骨を上に引き上げる筋肉 |
肩甲挙筋 | 肩甲骨を上に引き上げる筋肉 |
僧帽筋下部繊維 | 肩甲骨を下に引き下げる筋肉 |
いかり肩の人は僧帽筋上部繊維と肩甲挙筋が硬く縮こまった状態になり肩甲骨を上に引き上げます。
僧帽筋下部繊維は肩甲骨を下に引き下げる筋肉ですがこの筋肉が弱く肩甲骨を下に引けず、肩甲骨は更に上に上がっていかり肩になります。
なで肩
なで肩もいかり肩と同じく、遺伝による骨格や筋肉のつき方などの先天的要素と、生活習慣からなる後天的要素が関係しています。
なで肩を作る筋肉
僧帽筋上部繊維 | 肩甲骨を上に引き上げる筋肉 |
肩甲挙筋 | 肩甲骨を上に引き上げる筋肉 |
いかり肩と同じ筋肉ですが、その状態が違います。
なで肩の人は僧帽筋上部繊維の筋力が低下していて、肩甲骨を引き上げることができません。
それでも肩甲骨を引き上げようと肩甲挙筋が頑張ってしまうため、肩甲挙筋のみ硬く縮こまった状態になってしまいます。
その他
うつ病、狭心症、心筋梗塞、更年期障害、椎間板ヘルニアなどは症状として肩こりを起こします。
肩こりの4大原因の解消法
同じ姿勢
理想は30分に1回、10分程の休憩が必要です。仕事中はその時間を確保することが難しいと思いますが、できるだけこまめに休憩を取れるように工夫するとよいでしょう。
同じ姿勢でもよい姿勢でいることで肩こりが軽減されます。
座り姿勢
- 椅子に浅く座る
- 足首、膝、股関節が90度になるように椅子の高さを合わせる
- 腰が丸まらないように骨盤を立てる(腰を反らないように)
- PC作業などする場合は肘も90度になるようにする
- あごを軽く引いて顔が前へ出ないようにする
- 頭のてっぺんから真上に引っ張られている感覚で背中が丸まらないようにする
立ち姿勢
- 膝は正面を向くようにしてまっすぐ伸ばす
- 腰が丸まらないように骨盤を立てる(腰を反らないように)
- 力は入れずに胸を開く(肩甲骨を後ろへ引く意識)
- あごを軽く引いて顔が前へ出ないようにする
- 後頭部と背中のラインが一直線になるように意識する
- 頭のてっぺんから真上に引っ張られている感覚で背中が丸まらないようにする
眼精疲労
目の疲れを解消する運動
- 目をギュッと閉じる
- パッと大きく開く
- 黒目を上、下、右、左に動かす
- 黒目を上から時計回りにクルッと大きく動かす
- 黒目を上から反時計回りにクルッと大きく動かす
- これをを2~3回繰り返す
この運動は老眼を遅らせる効果も期待できます。
パソコン作業や細かいものを見る作業をする方は30分に1回休憩をとって遠くをボーっと眺めたり、目の運動をするのが理想的です。
長時間目を使い続けるほど疲れはたまっていくので、隙をみつけてやってみることをオススメします。
目の周りの血行を良くする温熱パック
- 湯船に浸かりながらお湯につけたタオルを絞って目元に乗せる
- タオルが冷えないうちに何度かお湯につけたタオルを絞って目元に乗せる
- これを10分行う
ちまたで情報として出ているタオルを電子レンジで温める方法はあまりおすすめできません。
筋肉が温まるのには時間がかかるのに対して、タオルを電子レンジで温める方法だと1分程で温度がさがってしまうため実用的ではありません。
手づくりでもできる電子レンジで温める小豆を使ったものや、ネットなどで販売されているジェル状の温熱パックだと10分以上温めることができるので、湯船に入る習慣のない人はオススメです。
運動不足
肩こりを解消する運動は筋肉に強い負荷をかけるよりも、軽い運動や散歩、ウォーキング、ラジオ体操がおすすめです。
歩くときは手を大きく振るようにすると肩回りの筋肉が動くので血行が良くなります。
特に腕は常に身体の前側にあることが多いので、意識して後ろに振るように動かす良いです。
(歩くときは周りも人にぶつからないように注意してくださいね)
ラジオ体操は負荷が軽く、5分以下の時間で400以上の筋肉を動かせるとても優秀な全身運動です。
運動不足の方が急に強い運動をすると、逆に筋肉が疲れて肩こりが悪化します。
無理はせず自分のペースで運動をしてみてください。
ストレス
ストレス解消の方法は千差万別です。
まず自分がなにでストレッサーを受けているのか原因を把握したら、可能な限りストレスの原因から遠ざかるようにします。
ただストレッサーの原因はそう簡単に排除できないことが多いので、どうしても遠ざけることができないことに対しては自分にあった解消法を試みてみてください。
- 湯船に浸かる
- 趣味に没頭する
- 自然とふれあう
- 騒ぐ、大声を出す
- 好きな音楽を聴く
- アロマで癒される
- 太陽の光をあびる
- 適度に身体を動かす
- 一人の時間をつくる
- 仲の良い人と過ごす
- お笑いなどを見て笑う
- よく休む、しっかり寝る
- バランスのよい食事をとる
- 泣けるドラマや映画を見る
- 自分のしたいことを優先させる
- 「やらねばならぬ」を減らす、やめる
やってはいけない事
- 自傷行為
- やけ食い
- 衝動買い
- ギャンブル
- 過度な飲酒
ぜひ自分にあった解消法を見つけてみてくださいね。
その他の肩こりの原因解消法
冷え
- 手湯
- 湯船につかる
- 筋トレで筋肉をつける
- ウォーキングで基礎代謝をあげる
筋肉には熱を生み出す力があります。
男性より女性の方が冷えやすいのは、筋肉量が大きく関係しているので筋肉をつけることにより冷えにくい身体をつくることができます。
首肩まわりが出ないような服装を心がけることや、湯船につかる習慣がない人は足湯ならぬ、手湯をすることで上半身を効率よく温めることができます。
性格
肩こりを起こしやすい性格には自律神経が大きく関係しています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、車に例えると交感神経=アクセル、副交感神経=ブレーキの役目を果たしています。
肩こりを起こしやすい性格の方は交感神経が優位になるので、交感神経をできるだけ刺激しない物事の捉え方や考え方を身につけていくとよいです。
- 自分を甘やかしてあげる、許してあげる
- 人に合わせすぎて自分の気持ちを押し殺すようなことは控える
- ~でなければいけない!~すべきだ!という自分にプレッシャーをかけて頑張ることを控える
肩がこりやすい人は自分に厳しく頑張り屋さんが多いので、自分を甘やかして労わってあげる時間をぜひ作ってあげてください。
肥満・痩せすぎ、首が細い
皮下脂肪を減らす生活
- 夜は18時~20時までに食べるのが理想
- 早寝、早起きして朝ご飯をしっかり食べる
- 主食、主菜、副菜、汁物をバランスよくとる
- 汁物→副菜(野菜)→主菜(肉、魚)→主食(炭水化物)の順で食べると太りにくい
- 食後に歩いたりストレッチすると血糖値の上昇をおえることができる
- どうしても食べたいおやつは15時に食べるのが一番太らない
- 日常に運動を取り入れて消費カロリーを増やす
痩せすぎ、首が細い人
- いきなり筋トレはしない。普段運動をしない人は首肩まわりのストレッチから行う
- 筋トレは軽いものから。やるなら必ず負荷や回数を減らして行う
- 頭を天井から引っ張られているイメージで顔が前に出ないように、首に負担がかからない姿勢を心がける
いかり肩・なで肩
いかり肩・なで肩のストレッチ
いかり肩、なで肩の人が共通して硬くなってしまう肩甲挙筋(肩甲骨を上に引き上げる筋肉)のストレッチです。
- 右肩を左手で抑える
- 左を向く
- 左肩を見る様に首を倒す
いかり肩ストレッチ
いかり肩の人が硬くなってしまう僧帽筋上部繊維(肩甲骨を上に引き上げる筋肉)のストレッチです。
- 右肩を左手で抑える
- 首を左に倒す
- そのまま右斜め上を向く
いかり肩筋肉トレーニング
いかり肩の人が弱くなってしまう僧帽筋下部繊維(肩甲骨を下に引き下げる筋肉)の筋肉トレーニングです。
- ヒップに手の平を当てる
- そのまま太ももの裏に向かって手をできるだけ下にスライドさせる
- 10秒3セット行う
(お腹が前へ出たり、腰が反ったりしないように注意してください)
なで肩筋肉トレーニング
なで肩の人が弱くなってしまう僧帽筋上部繊維(肩甲骨を上に引き上げる筋肉)の筋肉トレーニングです。
- 両腕を肩の高さまで上げて、肘を天井に向かって90度の曲げる
- 腕の高さをそのままで肩甲骨を天井側に上げる
その他、病気など
特に内臓由来の肩こりは見逃してはいけません。
定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
まとめ
国民病と言われるだけあって、肩こりの原因は様々です。
日頃の生活を見直したり、意識を変えることが肩こり解消の第一歩になります。
現代社会はとても肩こりしやすい環境ですが、そのなかで自分ができること、気をつけたほうが良いことなどの気づきになったら嬉しいです。
いつも頑張っている肩こりさん、ぜひ肩がこる原因をみつけて自分に合った解消法で身体を労わってあげてくださいね。
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